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「およよ。予には難しいのじゃ。」 |
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「んー。あのね、契約って言うのは『申込みの意思表示』と『承諾の意思表示』が合致したところで成立するの。ワンクリサイトのトラブルの場合はこの『申込みの意思表示』と『承諾の意思表示』が合致していないからこそトラブルになってる訳でしょ?」 |
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■消費者の申込みの意思表示
双方の意思表示が合致───────→契約が成立する。
■悪徳業者の承諾の意思表示
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「う、うーむ。そうかもしれないのじゃが、単語が難しいのじゃ。」 |
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「うーん。難しいかなあ。要するにね、単なる[画像クリック]や[入場(エンター)ボタンを押す行為]とか[規約に同意するクリック]はね、『消費者の契約申込みの意思表示』じゃないでしょ。ってこと。」 |
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「え、えーと、つまりどういうことなのじゃ?」 |
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「つまりね、消費者が契約申込みの意思表示をしてない限り、いくらね、悪徳業者が『承諾した』って言っても双方の意思表示が合致しない以上は契約は成立しないのよ。」 |
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承諾の意思表示しか存在しない ──→ ポップアップの有無に関わらず契約は成立しない。
■悪徳業者の承諾の意思表示
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「おお。なるほどのなのじゃ。でもじゃな、ワンクリック悪徳業者の方が『クリックで同意で申込みとなると利用規約に書いてある。その申込みに対して承諾した。契約成立だ、支払え。』とか言い張ったらどうなるのじゃ?」 |
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「んー。その場合、そのワンクリック悪徳業者主張のサイト利用規約が法的拘束力を持つためには、あらかじめ消費者にその利用規約を明示しておかないといけないの。」 |
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「えーと、利用規約とか法的拘束力とか難しい単語ばっかりで良く分からないのじゃ。もうちょっと分かりやすく説明してたもれなのじゃ。」 |
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「んーとね、ワンクリック料金請求サイトの利用規約って見にくい場所にあったりするでしょ?こういったね、見にくい場所とかにある利用規約にはそもそも法的拘束力は認められないでしょってことかな。」 |
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「ふぇ、その法的拘束力とやらがなかった場合は何か良いことがあるのかの?」 |
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「え?だって、利用規約に法的拘束力が無いんだったら、その利用規約に『クリックで同意して入会申込みとみなす』とか『料金は90日で48,000円です』とか書いていても無意味じゃないの。」 |
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「おお。なるほどなのじゃ。でも、法的拘束力とやらがあるのか無いのかって判断はどうやってするのじゃ?」 |
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「んーとね、経済産業省が出している電子商取引に関する準則(PDF、593KB)から抜粋するとこんな感じかな。」 |
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■ サイト利用規約が契約条件に組み込まれると認められる場合
ウェブサイト上で取引を行う際に必ずサイト利用規約が明瞭に表示され、かつ取引実行の条件としてサイト利用規約への同意クリックが必要とされている場合。
■ サイト利用規約が契約条件に組み込まれるか否かに疑問が残る場合
ウェブサイト中の利用者が必ず気がつくであろう場所にサイト利用規約が掲載されている(例えば、取引の申込み画面にサイト利用規約へのリンクが目立つ形で張られているなど)が、サイト利用規約への同意クリックまでは必要とされていない場合。
■ サイト利用規約が契約条件に組み込まれないであろう場合
ウェブサイト中の目立たない場所にサイト利用規約が掲載されているだけで、ウェブサイトの利用につきサイト利用規約への同意クリックも要求されていない場合。
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「えーと、予の場合は、一番下のヤツじゃったと思うのじゃ。」 |
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「そう。だったら、そもそも利用規約には法的拘束力が無いでしょうね。その利用規約に『クリックで同意として契約申込みとみなす』とか『料金は○○円です』とか書いていても本末転倒ってところかしら。」 |
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「なるほどなのじゃ。じゃから、『いずれかの画像や入場ボタンをクリックした時点で規約に同意し入会するものとみなす』って点が落とし穴って意味なのじゃな。」 |
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「そう言うこと。真っ当なサイトと比べてみれば分かると思うけど、一番上のところがほとんどでしょ。これがね、電子商の基本ルールなの。」 |
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「ふっふっふ。予の目はふしだらではないのじゃ!」 |
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「それを言うなら『節穴(ふしあな)』ね。」 |
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「あれ?ふぇ〜ん。決めゼリフをミスったのじゃぁ・・・」 |