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「まず、ワンクリック不当請求自体には詐欺罪の適用はまず無いっていうのはさっき説明したわよね。(正しく言えば、『詐欺にならないではなく、詐欺になりうるにとどまる』ね。)」 |
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「うむ。聞いたのじゃ。」
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「でもね、特定商取引法第14条『顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止』ってのがあるの。アダルトサイトは特定商取引法の適用を受けるんだけど、具体的には以下のどちらか片方でも当てはまれば特商法第14条違反になるの。」 |
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■1 あるボタンをクリックすれば、それが有料の申込みとなることを、消費者が容易に認識できるように表示していないこと。(利用規約に書いてあるだけでは表示していることにはなりません。)
■2 申込みをする際に、消費者が申込み内容を容易に確認し、かつ、訂正できるように措置していないこと。
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「およ?違法なんじゃったら無効なんじゃないのかの?」 |
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「うーん。法律には種類があってね、違反すると無効になるものから契約の有効無効とは関係無いものまであるの。この特商法第14条は契約の有効無効とは無関係のタイプなのね。」 |
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「ふーん。なのじゃ。」 |
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「で、レンタルサーバ屋さんがワンクリサイト運営者との契約を打ち切れば不当請求サイトが消滅する訳だから、被害はなくなるハズよね?」 |
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「それじゃ!予はかねがね疑問に思っていたのじゃ。何でレンタルサーバ屋はワンクリサイトとの契約を切らないのかの。」 |
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「それはね、電気通信事業法って法律で一方的に契約を打ち切ることが禁止されているからなの。」 |
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「およ?特商法違反なのに打ち切っちゃダメなのかの?」 |
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「んー。特商法っていういのは経済産業省ってところが所轄してるのね。で、電気通信事業法は総務省が所轄してるの。だから、総務省は管轄外の特定商取引法については原則として判断しないのよ。曰本国の縦割り行政の不備をついてきたのがワンクリック不当請求なのよ。」 |
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「曰本国はアホなのじゃ。」 |
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「こら。こぐまねこ帝国の皇帝さまがそんなことを言ったら国際問題になるでしょ。ダメよ。」 |
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「えっと、えっと、『アホ』っていうのは親しみがこもっているのじゃ。」 |
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「まぁ、そういうことにしておきましょうか。でね、『ワンクリック包囲網』っていうのは、縦割りをちょっとだけ排除して横で連携してみましょうかって感じなの。」 |
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「およ?具体的にはどんな風にやっているのじゃ?」 |
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「んー、具体的な流れはこんな感じかな。」 |
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■1 経済産業省が特定商取引法に違反する抽象的な事例を公表する。
■2 東京都がそれに基いて個別の違反サイトを認定し、レンタルサーバ屋さん等に契約を打ち切ってもらうように依頼する。
■3 レンタルサーバ屋による一方的なワンクリサイトとの契約打ち切りは電気通信事業法上は問題かもしれないが、電気通信事業法所轄の総務省が黙認する。
経済産業省:東京都と連携した不当請求・架空請求Webサイト対策の推進「特定商取引法に違反するWebサイトの事例公表」
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「ふーん。じゃあ、これでバンバンザイのはずじゃが、どうしてワンクリック不当請求サイトはどんどん増えていっているのじゃ?」 |
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「それはね、見て分かる通り、不当請求サイトに関する消費者からの相談が東京都に入ってから(つまり、不当請求サイトを見つけてから)の事後的な対応なのよ。事前にサイト開設を食い止めるって規制じゃないでしょ?」 |
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「ううむ。確かに・・・なのじゃ。」 |
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「だから、ホントに難しいのよ。撲滅は。」 |
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「うー、じゃあ、こぐまねこ帝国的な撲滅対応策はどんなのなのじゃ?」 |
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「えーとね、えーと、現状でできることは限られているんだけど、次のページでまとめるわね。」 |
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「うむうむ。乞、ご期待なのじゃ。」 |