 |
「うーむ。予には難しいのじゃ。」 |
 |
「そう言わないで頑張ろうよ。とりあえず上のボックスの中をちゃんと読んで。」 |
 |
「読んでみたのじゃが・・・・ほえ?って感じなのじゃ。」 |
 |
「うーんとね、まず契約ってのはね、例えばAさんが『コレを申込みます』っていう申込みの意思表示に対して、Bさんの『分かりました』っていう意思表示をBさんが送った時点で成立するのが民法の原則なの。」 |
 |
「ぼーーー。なるほどなのじゃ。」 |
 |
「うーん。つまりね、Bさんが『分かりました』って返事がAさんに届いていない段階でも契約は成立することになるの。」 |
 |
「ほえ?上のボックスの内容と何か矛盾する気がするのじゃ。」 |
 |
「ん。その通りよ。電子商取引の場合は民法の原則を修正して申込み者に承諾通知が到着した時点で契約成立にしましょうってことにしたの。」 |
 |
「ふーん。なのじゃ。」 |
 |
「それで、じゃあ、具体的に到着とは何?って話が書いてある訳なんだけど、『意思表示が相手方にとって知ることができる状態におかれた』時に到着したとする最高裁の判例があるのよ。」 |
 |
「おお。それが上のボックスに書いてあることと繋がるわけじゃな?」 |
 |
「ま、そういうことね。ま、まとめるとこんな感じかな。」 |
|
■メールがPOPサーバーなどに到着
→原則として到着した時点で「知りうる」ので契約成立。
例外「これは自動返信メールです。在庫を確認して改めてメールで承諾通知を送ります」等と表記
例外「サーバ障害のためメールが不着」
→「メール到着後にサーバ障害」の場合は契約成立。
例外「文字化け」「専用ソフトのため読めない」
→文字コードの変更など簡易に復号できる場合は契約成立。
■パソコン画面に承諾の意思表示が表示
→原則としてこの時点で契約成立。確認メールが送付されるのが普通だが、確認メールの到着は無関係。
例外「ありがとうございます。在庫を確認して改めてメールで承諾通知を送ります」等と表記
例外「何らかの通信障害で表示されなかった」場合
|
 |
「ふーん。メールが来なくてもパソコン上に表示されたらOKなのかの?」 |
 |
「んー。トラブルになる可能性を減らすために確認のメールを出すのが普通でしょうけど、法律上は画面上に『承諾しました。ありがとうございます。』と表示された時点で契約成立ってことね。」 |
 |
「ふーん。なのじゃ。でも、コレじゃとメールを読んでないから到達していない。だから契約は成立してないっていうのは無理ってことかの?」 |
 |
「まー、難しいでしょうね。」 |
 |
「なるほどだぞえ。」 |
○参考条文
■電子契約法(契約成立時点の転換)
第4条 民法第526条第1項及び第527条の規定は、隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合については、適用しない。
■民法(隔地者に対する意思表示)
第97条 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
■民法(隔地者間の契約の成立時期)
第526条 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
2 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。
■民法(申込みの撤回の通知の延着)
第527条 申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に到達した場合であっても、通常の場合にはその前に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、承諾者は、遅滞なく、申込者に対してその延着の通知を発しなければならない。
2 承諾者が前項の延着の通知を怠ったときは、契約は、成立しなかったものとみなす。
|