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分かりやすい法律の解説
ちょっとその前に
カウンター
「えーと、むつかしいかもしれないので、ま、適当に読み流してください。一度でいいから読むのと1回も読まないのとでは大きな差がありますから。」
「およよーー。予は10回読んだのじゃが、分かったような・・・分からないような・・・なのじゃ。」
「だったら、読み飛ばして次のページに行ったらいいと思うわよ。」
一般法と特別法
一般法・・・基本となる法律(ex.民法) 特別法・・・一般法の原則のままでは不都合が生じてしまう場合等に、基本法の原則を修正する法律 (ex.消費者契約法,電子消費者契約法,労働基準法,借地借家法,利息制限法・・・他多数) -------------------------------------------------------------------- 契約とかの場合は一般法である民法が基本になる訳ですが、強い立場と弱い立場の者を同列に扱ってしまうと、どうしても弱い立場の者が著しく不利になってしまうケースがあったりしました。 その不都合を解消するために、民法の原則を修正するために沢山の特別法が作られています。
任意規定と強行規定
任意規定・・・法律で定められている事項であっても、当事者の意思を優先して差し支えない規定のこと。 民法の多くはこの任意規定です。 強行規定・・・当事者の意思よりも法律の定めが絶対的に優先する法律の規定のこと。 (ex.刑法、民法の時効利益の事前放棄禁止規定・・・) -------------------------------------------------------------------- 『契約締結自由の原則』があるので、民法の契約に関する規定の多くは当事者の意思(≒利用規約)が優先する『任意規定』であることが多いです。 労働基準法を始め、特別法の多くはこちらの強行規定となります。 基本原則では不都合であるので、それを修正するために作られたのが特別法だったりします。その特別法が当事者の意思(≒利用規約)によって排除されてしまうと本末転倒となってしまいます。
無効と取消し、重畳的利用
取消し・・・一旦成立した意思表示を取消す。詐欺、強迫、未成年者、消費者取消権・・・ 無効・・・・元々契約自体が成立していない。幼児の意思表示、公序良俗違反、強行規定違反、心理留保、通謀虚偽表示、錯誤・・・ -------------------------------------------------------------------- 基本的に「無効」の方が強いです。「取消し」には時効があったり、法定追認等によって取消すことができなくなったりするケースもあります。 詳細はここでは省きますが。 さて、こういった取消しや無効の規定ですが、どれかしか使えないというものではありません。ほとんどの場合において、適用要件さえ満たせば、どれでも都合の良いものを使って良い訳です。 クーリングオフはつかえないけど、消費者取消権は使える・・・なんてことは十分にある訳ですね。
「うむむ。予にはむつかしいぞえ(>_<)」
「ま、このページは何となく読み流してればいいわよ。消費者契約法と電子消費者契約法の逐条的解説のところは少しきちんと読んでもらいたいけどね。」
「うーむ。なんとなく読むことにするかのう。おっほっほっほっほ。」
消費者を守ってくれる民法の規定
「民法の条文自体は、『私権ハ公共ノ福祉ニ遵フ』といったように漢字カタカナ交じり文なのですが、読みやすいように適当にアレンジしてます。」
公序良俗違反
第90条 公序良俗違反 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は無効とする。 -------------------------------------------------------------------- 簡単に言えば「愛人契約」「人身売買契約」「麻薬取引」「泥棒請負契約」・・・ こういったのは無効ですよってことですね。
錯誤(重要)
(錯誤) 第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 -------------------------------------------------------------------- 契約は、『申し込みの意思表示』と『承諾の意思表示』が合致したところで成立します。『申し込みの意思表示』『承諾の意思表示』のいずれかの要素に錯誤がある場合は無効となります。 ただし、錯誤のある意思表示をした人に重過失がある場合にまで錯誤無効を認めるのはフェアじゃないですから、その人からは無効を主張することはできないと規定されています。 こぐまねこ皇帝がお店で笹の葉っぱを買おうとしてると仮定します。 動機 ・・・「このお店の笹の葉っぱが一番安いので買おうかなぁ」と思うこと 効果意思・・・「笹の葉っぱ1キロを500円で買おう」と思うこと 表示意思・・・「『笹の葉っぱ1キロを500円で買います』と言おう」と思うこと 表示行為・・・「笹の葉っぱ1キロを500円で買います」と言うこと この段階を踏んで意思表示を行う訳です。 『表示行為』に対して『効果意思』『表示意思』が欠けていたり一致していなければ、意思の欠缺となります。で、表意者に重過失がなければ錯誤無効である旨の主張が通ります。 ※錯誤無効の規定は表意者を保護するためのものなので、表意者が別に無効にする意思がなく契約成立を望んでいる場合は無効とはなりません。 また動機部分は原則として要素にはなりませんので、他の店の方が安かったとしても錯誤無効とはなりません。 (動機が重要であり、事前に相手に告げておけば要素に含まれます。)
詐欺と強迫による意思表示
(詐欺又は強迫) 第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。 2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。 3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。 -------------------------------------------------------------------- 錯誤のところでカキコしましたが、効果意思(「笹の葉っぱ1キロを500円で買おう」と思うこと)の生成過程で瑕疵(キズ)があるのが詐欺・強迫って類型になります。 んで、詐欺と強迫による意思表示は取消すことができます。取消しは取消されるまでは一応有効ですし、取消し権は時効にかかったりもするので、元々無効であるものよりは表意者の保護は薄かったりします。 第2項は例で行きます。 例えば、掲示板や出会い系サイトで『無料だからこっちへ登録して』と誘われたとします。で利用規約も何も確認せずに登録したら、そこが有料サイトだっとします。 この場合、『無料だから』と誘った人の詐欺となる訳ですが、有料サイトがその誘った人が『無料』とウソをついたってことを知らなければ、出会い系サイトへの登録は取消せません。 『無料と思った』という動機の勘違いですが、動機は予め相手(有料サイト)に表示していなければ意思表示の要素にならない訳ですから、錯誤無効も使えません。 『無料だから』と誘った人と有料サイトの関係をこちらが証明できるか、電子消費者契約法・消費者契約法・未成年者保護規定など他の規定が使えればよいですが、そうでなければ法的には負けてしまいます。 もちろん、ウソをついて誘った人に対して損害賠償をすることは可能でしょうが、どこの誰だか分からなければどうしようもありません。 『無料だからこっちへ登録して』という言葉にはくれぐれも引っ掛からないようにしましょう!! 第3項も例で行きましょう。 例えば、伝家の宝刀を言葉巧みにダマされて500円でAさんに売ってしまったとしましょう。で、Aさんがその宝刀をBさんに10,000円で転売してしまったとします。 この場合に、Aさんとの契約を詐欺で取消しても、BさんがAさんが詐欺を働いたってことを知らなければ、その宝刀はBさんのものになります。 強迫(オド)されてしかたなくAさんに伝家の宝刀を売ってしまったという場合は、Bさんに転売されていたとしても、Aさんとの契約を解除すれば宝刀を返してもらえます。 このように、詐欺というのはダマされる方もうっかりしているとして保護が薄いものだったりします。 ダマされないように、しっかりと勉強しましょうね。
無効行為の追認
(無効な行為の追認) 第百十九条 無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。 -------------------------------------------------------------------- 取消しができる行為は追認や法定追認によって確定してしまったりしますが、無効の場合は追認したとしても無効です。 ここでも、詐欺取消しよりも錯誤無効の方が保護が厚い訳ですね。
指名債権譲渡の対抗要件
(指名債権の譲渡の対抗要件) 第四百六十七条 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 -------------------------------------------------------------------- ワンクリサイトや悪質な出会い系サイトに良く見られる規定に「債権回収業者に債権を・・・」という文言がありますね。 債権譲渡は債権者(この場合はサイト)から債務者(この場合は消費者)に通知するか、または、消費者が譲渡を承認しなければ、債権を譲渡された回収業者の請求は拒否できることになります。 トラブルになった場合には譲渡を承認するということは無いでしょうから、事実上はサイトから債権譲渡の通知を受けなければ回収業者の請求は拒否できることになります。
未成年者保護規定
条文省略 -------------------------------------------------------------------- 未成年者が親(法定代理人)の同意を得ないで結んだ契約は取消すことができます。ただし、 親の同意がある場合 おこづかいの範囲 単に権利を得る行為 単に義務を免れる行為 成年者であると詐術を使った場合 などは取消すことはできません。 なお、詐術についてですが、 「18歳以上ですか」 「20歳以上ですか」 インターネットの電子商取引ではこれらについて「YES」としても詐術を使ったとは考えられていません。 「未成年者の場合は親権者の同意が必要です。20歳以上ですか」 これに対して「YES」と答えた場合は詐術として未成年者保護規定は使えなくなります。 なお、取消した場合ですが、第121条に未成年者の場合は現に利益を受ける程度で返還すれば良いとなってますので、現に利益を受けていない場合は何も返さなくて良いことになってます。 例 有料の出会い系サイトに登録して利用したけど未成年者であることを理由として取消した。 本来なら使った分に関しては「不当利得」として業者に返還する(支払う)べきだけど、未成年者の場合は現に利益を受けているものが無いので返還し(支払わ)なくても良い。 未成年者保護規定は「ものすごく強い」規定だってことですね。
「うーむ。ここに載せたのはホンの一部なんじゃろ?」
「もちろんそうよ。民法は1000条を超えるマンモス法令だからね。ま、その中で気になったものだけ集めたんだけど。今後増えるかもしれないし増えないかも知れないわね。」
「ほよほよ。法律の勉強ってのは大変なのじゃなぁ。」
「んー。それでもね、一度読んでおくのと1回も読んでないのとでは全然違うと思うからね。」
「分かったのじゃ。ボチボチと読んでいくとするのじゃ。」
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